私の母は80代で、認知症があります。
要介護認定では要介護1で、現在も一人暮らしを続けています。
あるとき母が体調を崩し、総合病院を受診することになりました。
診察の結果によっては、入院や手術が必要になるかもしれません。
私は母の医療費がどれくらいになるのか心配になり、手元にあった「後期高齢者医療資格確認書」を確認しました。
資格確認書には、次のように記載されていました。
| 確認した項目 | 母の記載内容 |
|---|---|
| 自己負担割合 | 1割 |
| 限度区分 | 区Ⅱ |

しかし、その時点の私は「区Ⅱ」が何を意味するのか、よく分かっていませんでした。
さらに疑問に思ったのが、
資格確認書にすでに「区Ⅱ」と書かれていても、市役所で別途「限度額適用認定証」などを発行してもらう必要があるのだろうか。
ということです。
入院が決まってから慌てないように手続きを確認しようとしましたが、資格確認書、限度額適用認定証、高額療養費など似た言葉が多く、最初は違いを理解できませんでした。
結局、母は入院せず通院だけで済みました。
この記事では、母の資格確認書に記載されていた「区Ⅱ」の意味や、高額な医療費がかかりそうなときに家族が確認しておきたいことを、私の体験とともに紹介します。
資格確認書に「区Ⅱ」とあれば、まずその書類を確認する
最初に、私が当時知りたかったことへの結論を整理します。
母の資格確認書には、すでに「限度区分:区Ⅱ」と記載されていました。
現在の後期高齢者医療制度では、限度額適用・標準負担額減額に関する情報を資格確認書の限度区分欄に記載する仕組みがあります。
母のように資格確認書へ「区Ⅱ」と記載されている場合は、その資格確認書を医療機関の窓口へ提示することで限度区分を確認してもらえます。
基本的に、別紙の「限度額適用・標準負担額減額認定証」を追加で用意する必要はありません。
医療機関がオンライン資格確認で限度額情報を確認できる場合も、追加の紙の書類は不要です。
ただし、実際の受付方法やほかに必要な書類がないか不安だったため、入院が決まった場合は病院や資格確認書の発行元へ確認するのが確実だと考えました。
実際に入院が決まった場合は、次の2か所へ確認するのが確実です。
- 資格確認書に記載された後期高齢者医療広域連合または市区町村
- 入院する病院の受付・医事課・入退院支援窓口
「資格確認書に区Ⅱと記載されていますが、ほかに必要な書類はありますか」と伝えれば、状況を確認してもらいやすいと思います。
後期高齢者医療資格確認書とは
資格確認書は、医療機関や薬局で公的医療保険の資格を確認してもらうための書類です。
マイナ保険証を持っていない人などに交付され、医療機関の受付で提示することで、従来の健康保険証と同じように受診できます。
また、高齢などの理由でマイナンバーカードによる受診が難しい人は、申請により資格確認書の交付を受けられる場合があります。家族や介助者による代理申請も可能と案内されています。
資格確認書で確認したい項目
母の資格確認書を見たとき、私は負担割合と限度区分だけを確認していました。
入院や高額な治療に備える場合は、次の項目も確認しておくと安心です。
- 氏名と生年月日
- 有効期限
- 自己負担割合
- 限度区分
- 保険者名
- 保険者番号
- 記載内容に間違いがないか
特に重要なのが、有効期限と限度区分です。
以前に受け取った古い資格確認書を保管している場合は、現在有効なものか確認する必要があります。
資格確認書の「区Ⅱ」とは
資格確認書にある「区Ⅱ」は、高額療養費や入院時の食事代などを計算する際に使われる所得区分です。
後期高齢者医療制度における低所得Ⅱは、基本的に同一世帯の全員が住民税非課税で、低所得Ⅰには該当しない人を指します。
私の母は一人暮らしで、世帯は非課税世帯です。
そのため、資格確認書の限度区分には「区Ⅱ」と記載されていました。
「1割負担」と「区Ⅱ」は別の情報
私は最初、母は1割負担なので、医療費についてはそれだけを見ればよいのかと思っていました。
しかし、
- 自己負担割合が何割か
- 1か月に支払う医療費の上限がいくらか
は別の情報です。
自己負担割合が1割でも、治療費が高くなれば窓口で支払う金額も増えます。
その負担が過大にならないように、年齢や所得区分に応じて上限を設けているのが高額療養費制度です。
高額療養費制度とは
高額療養費制度は、1か月に支払った保険診療分の自己負担額が、所得区分に応じた上限を超えた場合、その超過分が支給される制度です。
上限額は、年齢や所得によって異なります。
同じ「1割負担」の人であっても、一般所得なのか、住民税非課税世帯なのかによって上限額が変わります。
区Ⅱの自己負担上限額
制度改正をまたぐ時期なので、2026年7月までと8月以降では金額が異なります。
2026年7月診療分まで
| 対象 | 自己負担上限額 |
|---|---|
| 外来・個人単位 | 月8,000円 |
| 外来と入院・世帯単位 | 月24,600円 |
2026年8月診療分から
| 対象 | 自己負担上限額 |
|---|---|
| 外来・個人単位 | 月11,000円 |
| 外来の年間上限 | 年96,000円 |
| 外来と入院・世帯単位 | 月25,700円 |
| 多数回該当 | 月24,600円 |
| 年間上限 | 年290,000円 |
2026年8月からは月額上限の一部が変更され、新たに年間上限も設けられます。年間は8月から翌年7月までを一つの期間として扱います。
ただし、すべての医療費が上限の対象になるわけではありません。
食事代や差額ベッド代は高額療養費の対象外
高額療養費の上限が適用されるのは、基本的に公的医療保険の対象となる診療費です。
次のような費用は、高額療養費の計算に含まれません。
- 入院時の食事代
- 差額ベッド代
- 保険適用外の治療
- 入院中の日用品代
- 診断書などの文書料
厚生労働省も、入院時の食費や差額ベッド代などは高額療養費の自己負担限度額に含まれないと案内しています。
母が入院するかもしれないと聞いたとき、私は「区Ⅱなら医療費はすべて一定額まで」と思いかけていました。
しかし、実際の入院では、保険診療分とは別に食事代や個室代などが発生する可能性があります。
病院から入院費の説明を受ける際には、
高額療養費の対象外になる費用は、ほかに何がありますか。
と確認しておくと安心です。
限度額適用認定証は別に必要なのか
私が最も迷ったのが、この点です。
母の資格確認書には「区Ⅱ」と書かれています。
それでも、以前からある「限度額適用・標準負担額減額認定証」を市役所で別に発行してもらう必要があるのか分かりませんでした。
現在は、大きく次の3つのケースに分けて考えると理解しやすいと思います。
マイナ保険証を利用する場合
オンライン資格確認に対応した医療機関でマイナ保険証を利用し、限度額情報の提供に同意すれば、原則として限度額適用認定証を別途提示しなくても、保険診療分の窓口負担を上限額までに抑えられます。
資格確認書に限度区分が記載されている場合
母のように資格確認書へ、
限度区分:区Ⅱ
と記載されている場合、その資格確認書で限度区分を確認できる運用があります。
資格確認書を病院の受付へ提示し、追加で必要な書類があるか確認するのがよいと思います。
資格確認書に限度区分の記載がない場合
資格確認書に限度区分の記載がなく、マイナ保険証も利用しない場合は、加入している後期高齢者医療広域連合や市区町村へ、限度区分が記載された資格確認書の交付について確認します。
医療機関側がオンライン資格確認で限度額情報を確認できる場合は、限度区分を記載した資格確認書を提示しなくても、窓口負担を上限額までに抑えられることがあります。
厚生労働省も、高額療養費に関する問い合わせ先は加入している保険者によって異なるため、資格確認書に記載された保険者へ問い合わせるよう案内しています。
母の入院に備えて私が確認したこと
母が総合病院を受診したとき、入院する可能性もあると考え、まず資格確認書を探しました。
確認できたのは、
- 後期高齢者医療の自己負担割合は1割
- 限度区分は区Ⅱ
- 資格確認書の有効期限内である
ということでした。
しかし、書類を見ただけでは、
- 別の認定証が必要なのか
- 入院費はいくらになるのか
- 食事代はいくらになるのか
- 後から払い戻されるのか
- 入院前に市役所へ行く必要があるのか
までは分かりませんでした。
制度を調べるほど、書類の名称や条件が次々に出てきます。
母が体調を崩しているときに、家族が落ち着いて制度を調べるのは簡単ではありません。
そのため、入院の可能性があると言われた段階で、早めに病院や資格確認書の発行元へ確認した方がよいと感じました。
結局、母は入院せず通院で済んだ
幸い、母は手術や入院をせず、通院で様子を見ることになりました。
そのため、当時は高額な入院費を支払うことも、追加の手続きをすることもありませんでした。
結果だけを見れば、私が心配して調べたことは必要なかったように見えるかもしれません。
しかし、母はその後も体調を崩し、総合病院へ付き添うことがあります。
年齢や認知症の状態を考えると、いつ入院が必要になっても不思議ではありません。
一度資格確認書を確認し、負担割合や限度区分を把握しておいたことは、今後の備えになったと思います。
母の現在の一人暮らしと、私が車で約2時間離れた場所から通院などを支えている状況については、別の記事で詳しくお伝えしています。

入院前に家族が確認しておきたいこと
今回の経験から、親が入院する可能性があるときは、次の項目を確認しておくとよいと思いました。
手元の書類
- 資格確認書またはマイナ保険証
- 資格確認書の有効期限
- 自己負担割合
- 限度区分の記載
- 保険者名
- 介護保険被保険者証
- お薬手帳
医療費と入院費
- 高額療養費の所得区分
- 窓口負担が上限額までになるか
- 食事代
- 差額ベッド代
- 日用品代
- 文書料
- 退院時の支払い方法
手続きと問い合わせ先
- 資格確認書以外に必要な書類があるか
- 病院でマイナ保険証を利用できるか
- 限度区分が病院側で確認できるか
- 市区町村で事前申請が必要か
- 高額療養費の振込口座が登録されているか
すべてを家族だけで判断する必要はありません。
病院の医事課や医療相談窓口、市区町村の後期高齢者医療担当窓口へ、資格確認書を手元に置いて問い合わせると話が進みやすくなります。
高額療養費は後から払い戻される場合もある
窓口で限度額の適用を受けられず、自己負担上限を超えて支払った場合でも、高額療養費として後から超過分が支給される場合があります。
ただし、初回は振込先口座の登録など、申請が必要になることがあります。
その後は、口座情報などに変更がなければ、自動的に振り込まれる運用を行っている広域連合もあります。
後から戻るとしても、一時的に高額な金額を準備するのは家族にとって負担です。
できるだけ入院前に資格確認書の限度区分や、窓口での適用方法を確認しておく方が安心だと思います。
医療費だけでなく今後の介護費用も考えるようになった
母の入院を心配したことをきっかけに、私は医療費だけでなく、将来の介護費用についても具体的に考えるようになりました。
母は現在も一人暮らしですが、夜間外出や転倒、服薬管理などの問題があります。
今後、グループホームや特別養護老人ホームなどへ入る可能性もあります。
医療費と施設費用は別の制度ですが、どちらも親の所得区分や世帯の課税状況が負担に関係する場合があります。
認知症の母のためにグループホームを調べ、実際に見学した体験については、別の記事で詳しくお伝えしています。

資格確認書の「区Ⅱ」を見て感じたこと
介護や医療の制度には、普段の生活では聞かない言葉が数多く出てきます。
区Ⅱ、低所得Ⅱ、高額療養費、限度額適用認定証、資格確認書。
親が元気なうちは、私もほとんど意識していませんでした。
しかし、母が体調を崩し、入院するかもしれない状況になると、家族が短時間で手続きを判断しなければなりません。
私が今回最初にできたのは、資格確認書を取り出し、そこに書かれている内容を確認することだけでした。
それでも、
負担割合は1割
限度区分は区Ⅱ
と把握できたことで、問い合わせる際に母の状況を伝えやすくなりました。
制度のすべてを暗記する必要はないと思います。
まず手元の書類を確認し、分からないことをそのまま窓口へ聞くことが大切だと感じました。
まとめ
母が体調を崩して入院するかもしれなくなったとき、私は後期高齢者医療資格確認書を確認しました。
母の資格確認書には、
- 自己負担割合:1割
- 限度区分:区Ⅱ
と記載されていました。
区Ⅱは、基本的に世帯全員が住民税非課税で、低所得Ⅰには該当しない人の所得区分です。
資格確認書にすでに区Ⅱと記載されている場合、その書類で限度区分を確認できる場合があり、別の認定証が必ず必要とは限りません。
ただし、実際の入院時に必要な書類や受付方法は、加入している後期高齢者医療広域連合や医療機関へ確認するのが確実です。
また、高額療養費の上限に含まれるのは保険診療分で、食事代や差額ベッド代などは対象外です。
結局、母は入院せず、通院だけで済みました。
それでも、今後に備えて資格確認書の負担割合と限度区分を確認しておいたことは無駄ではなかったと思います。
親が体調を崩してから制度を一から調べるのは大変です。
元気なうちに一度、資格確認書の保管場所、有効期限、負担割合、限度区分を確認しておくと、急な入院時にも少し落ち着いて対応できると思います。
